泥棒

ある大学の教授のところへ、ある夜遅く警察から電話がかかってきた。
先生の研究室が泥棒に荒らされたので、何が盗まれたのか確認して欲しい、というのである。
現場に駆けつけた教授は、室内を見渡して、ちょっと驚いた表情になった。
部屋中至る処に本や書類が撒き散らされ、キャビネットは開いたまま、中の書類は床に散らばっている。机の引き出しの中身が机の上にほうり出され、紙屑籠がひっくり返り、椅子は倒れている、という状況である。教授は重い口を開いて、こういったものだ。
「でも、私が部屋を出た時のままで、どこも変わっていないのですが」
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